• 公開:2022年07月01日
  • 更新:2022年07月01日

meet ▶[ファミワン]:妊活で悩む夫婦をゼロに

株式会社ファミワン

株式会社ファミワン
  • 予防医療
  • 自治体
  • プロダクト(製品)共同開発
  • 事業提携
  • ジョイントベンチャー設立
  • 資金調達したい
  • 中小企業
  • 大手企業
  • 教育研究機関
  • スタートアップ

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https://auba.eiicon.net/projects/27010

#ヘルスケア #未病 #予防医療

以前に比べて妊活や不妊治療に関する話題を見聞きすることは増えたものの、今でもどのような選択肢があるのか適切な情報を得られず、悩みを抱えている人も多い。それは周囲の人にとっても同じで、サポートしてあげたいが何をしてあげればいいか分からないという人も少なくないだろう。

そのような課題に対し、妊活・不妊治療について専門家にLINEで相談できるサービスを展開しているのがファミワンだ。専門家の領域は多岐にわたり、不妊症看護認定看護師を中心に、臨床心理士、胚培養士、キャリアカウンセラーなど30名が在籍している。

また、不妊治療の問題は、女性のキャリアに大きな影響をおよぼす。実に3組に1組の女性が、不妊治療と仕事の両立ができずに離職しているという現実があり、頭を抱えている企業は珍しくない。ファミワンはそのような企業に対し、福利厚生としてのサービスも展開し、様々な業種や規模の企業の他、自治体にも導入し始めている。

「eiicon meetup」登壇企業に話を聞くインタビュー企画『meet startups!!』。今回は、株式会社ファミワン代表の石川勇介氏にインタビューを実施。創業の経緯や事業の進捗、今後のビジョンを聞いた。


▲株式会社ファミワン 代表取締役 石川勇介氏

自らの不妊治療の経験が起業のきっかけに

――まずは起業しようと思ったきっかけを教えてください。

石川氏:私自身が不妊治療に悩んだ経験がきっかけです。妊活を始めるまでは、すぐに妊娠するものだと思っていましたし、不妊治療に関しても自分は知識がある方だと思っていました。しかし、いざ蓋をあけてみると知らないことばかり。さらに、調べれば調べると同じように不妊治療で悩んでいる声は多く出てきて、こんなにも苦しんでいる人が多いのかと思いました。

加えて、創業当時(2015年)はヘルスケアに関連するメディアも玉石混交で、不妊治療に関する間違った情報も多かったことも課題に感じていました。私はエムスリーという医療情報を扱う会社にいたので、情報の真偽がある程度調べることができたのですが、間違った情報をそのまま信じている方もいて。妊活について、しっかりと正しい情報を発信するメディアやサービスが必要だと思ったのです。

――エムスリーにいたのであれば、社内で新規事業を立ち上げることもできたかもしれませんが、なぜ起業を選択したのでしょうか。

石川氏:企業の新規事業として始めるのであれば、数年以内に結果を出さなければなりません。しかし当時は、想いはあったものの、この領域での事業化は難しく、数年で黒字化するイメージがなかったのです。それなら自分でリスクをとってやるしかないと思い、独立して起業しました。

実際にその予想はあたっていて、創業してから3~4年はピボットの繰り返しで、うまくいきませんでした。もしも会社の新規事業として始めていたら、この取り組みは続けられなかったと思います。

妊活をサポートする福利厚生で、企業の悩みも解決

――現在の事業の内容について教えてください。

石川氏:現在力を入れているのは、妊活や不妊治療について相談できるチャットサービスと、研修などの周囲のかたにも向けた啓発のセミナーを企業向けに福利厚生として提供する事業です。実は不妊治療に悩んでいる方の2~3割は、会社を辞めたり働き方を変えてしまっており、優秀な人材が離れていくことに悩んでいる企業も多々あります。

私たちのサービスを導入することで、社員が妊活を続けながらも安心して働き続けてもらえると、導入企業からは好評を得ています。また、管理職向けに不妊治療をしている社員にどのように接すればいいのかという研修も行っています。

個人向けにも同じサービスを提供しているのですが、世の中を変えていくという意味でも、今は法人向けの事業拡大に注力していますね。


▲妊活・不妊をLINEでサポートするファミワンのサービス(画像出典:ファミワンHP

――実際に利用しているユーザーからはどのような反応があるのでしょうか?

石川氏:病院で治療を受ける決意が固まったと言う人もいれば、出産してお子様の写真を送ってきてくれる方もいます。また、このような福利厚生を用意している会社に対して、エンゲージが高まったという話を聞くこともありますね。

妊活に関する悩みは、一緒に働く会社の上司や同僚になかなか相談できません。ファミワンがあれば、仕事とは関係のない人に相談できるので、心が軽くなったと感じる方もいるようです。また、研修を受けた管理職の方々からは「冗談で言っていたことが、実は言ってはいけないことだった」と反省の声をもらうこともあります。

――ファミワンさんのHPを拝見すると、導入企業例として小田急電鉄・TBS・コクヨアンドパートナーズ・GAtechonologiesといった社名をお見受けします。大企業やメガベンチャーに導入することができた秘訣も教えてください。

石川氏:シンプルに数多く様々な企業に提案してきた結果ですね。よく「女性活躍推進に力を入れている企業のほうが提案しやすいんじゃないですか」と言われるのですが、そんなことはないんです。女性の働き方に力を入れている会社は、自分たちで制度を作ったりスケジュールを決めて動いているので、意外に私たちのサービスを必要としていないこともあります。

また、特定のターゲットを絞ってしまうと「大企業だから導入できる/柔軟なIT企業だから導入できる」という印象を持たれてしまうのも好ましくありません。私たちのサービスはあらゆる企業に必要だと思っているので、業種や規模で企業を絞らずに提案しているんです。直近でも、食品スーパーの会社にも導入が決まるなど、本当に幅広くどの会社も取り組むべきものと認識されています。

また、最近では企業だけでなく、自治体にも導入してもらっており、都心部の自治体だけでなく、地方の自治体にも同じように提案させてもらっています。


▲ファミワンの法人向けサービス(画像出典:ファミワンHP) 

ユーザーが安心して相談できる3つの特徴

――ファミワンの強みについても聞かせてください。

石川氏:3つあると思っていて、一つは専門家の幅です。看護師さんや臨床心理士さん、胚培養士さんや助産師さんなど、様々な専門家と繋がっているので、多角的なサポートが可能です。大学や病院ともつながっていることが、ユーザーの安心感にも繋がっていると思います。

2つ目は、不妊に悩んでいなくても利用できる点です。不妊の相談サービスなどは数多くあるのですが、いざ不妊で悩んでしまうとなかなか人に相談できないんですね。その点、私たちは悩む前からサービスを使ってもらえています。約半数が未受診の時に登録いただいています。悩む前からつながっているので、悩んだ後も気軽に相談してもらえるんです。

3つ目は、大量のアクセスにも耐えられるシステムや仕組みです。相談に乗ってくれる専門家は30名ですが、最初の問診などはbotやアンケートフォームを使って自動で応えてもらえる仕組みになっています。専門家の負担を減らすことで、より多くの人の相談を聞くことができるため、ユーザーが増えてもストレスなく利用してもらえると思います。

――現在も様々な企業さんと組んでいますが、今後どのような企業と組んでいきたいですか?

石川氏:ユーザーと向き合いつつも、多様な選択肢を認められるスタンスの企業と組んでいきたいです。例えば、妊活のサービスをしているからといって、必ずしも妊娠をゴールにしなくていいと思うんです。ユーザーに対して、幅広い選択肢を用意できる会社さんとはいい共創ができると思います。

――最後に今後どのように事業を展開していくのかお聞かせください。

石川氏:今後も不妊治療を切り口にしつつも、領域を徐々に拡大していきたいと思っています。例えば月経や更年期、性教育もそうですし、パートナーシップで悩んでいる方も多くいます。そのような人たちを幅広く支援できる会社になっていきたいですね。

しかしその一方で、あまり領域を広めてしまうと会社のドメインがブレてしまうのは課題です。あくまで「不妊治療と言えばファミワン」というブランドは維持しながら、多くの企業とパートナーシップを組んで事業領域を広げていければと思います。


▲4月27日に開催されたピッチイベント「eiicon meetup!!vol.2」に登壇した石川氏。

(取材・文:鈴木光平)


選択しているビジネス領域の企業

Flora株式会社

Flora株式会社は、「すべての人がなりたい自分になれる社会」を目指し、AIとデータの力を活用して、ウェルビーイングを支えるフェムテックサービスを展開しています。これまで見過ごされてきた“女性の健康”に関するデータを蓄積・活用することで、医療・企業・大学など多様なパートナーと連携しながら、女性の健康を包括的に支援するプラットフォームづくりを進めています。データを通じて、一人ひとりが自分らしく生きられる未来の実現を目指しています。◼︎ 2C向け:月経・妊活・更年期をサポートするアプリ《Moonly》女性のライフステージに寄り添う、月経管理・妊活・更年期支援アプリです。500以上の専門的かつ実用的なコンテンツを揃え、健康意識の高いユーザーから高い支持を得ています。Moonlyは、広告ではなく「価値ある情報への対価」としてのサブスクリプションモデルを採用。ユーザー、一人ひとりの体調・年齢・気分・周期に合わせて、パーソナライズされた情報をレコメンドします。 詳しくはこちら:https://main.flora-tech.jp/ja/moonly-app◼︎ 2B向け:従業員の健康を支える《Wellflow》Wellflowは企業向けの健康経営支援サービスです。サーベイから行動促進、認定取得支援まで一貫してサポートし、従業員一人ひとりの身体的特性や生活習慣に最適化した提案を行います。月経や更年期、育児にまつわる課題まで幅広くカバーし、健康経営と女性活躍の両立を支援します。 詳しくはこちら:https://biz.flora-tech.jp/ja◼︎ データ活用による共創《expert》MoonlyやWellflowで蓄積されたヘルスケアデータをもとに、企業と共に商品開発を行い、ユーザーに還元するエコシステムを構築しています。

  • リソース探索(技術・アイディアなどを探したい)
  • 既存プロダクト改善(生産プロセス・製品性能・システム)
  • 事業提携
  • スタートアップ
Flora株式会社

株式会社Gypsophila

・既存の不妊治療に関わる相談サービスは、相談を通じた不妊治療当事者の一時的な精神的負荷軽減を目的としているケースが大半。然し乍ら、不妊治療に取り組む方が仕事との両立に向けて一番望んでいることは「職場における理解向上」であり、不妊治療と仕事を両立可能な社会を実現するには、企業・社会が不妊治療と仕事の両立に対して課題認識を持ち、具体的なアクションを起こすことが不可欠。本サービスは相談を通じて不妊治療と仕事の両立課題を解像度高く可視化し、企業へレポーティングすることで企業における課題認識醸成を促すことを目指す。・既存の不妊治療に関わる相談サービスは、相談相手に看護師・臨床心理士等の専門家を配置しているケースが大半。当該専門家はヘルスケア観点でのアドバイスには強みを持つ一方、働き方の観点で不妊治療と仕事の両立をどう実現していくかという知見は必ずしも豊富ではないと推察。本サービスでは、実際に不妊治療と仕事(一般企業勤務)の両立に取り組んだ経験を持つ人材を相談相手に配置し、高い共感を持って相談にのることが可能。・既存の不妊治療領域におけるBtoBサービスは、セミナー開催や提携医療機関の料金割引等が大半だが、その費用対効果や社内ニーズを確りと確認しているケースは僅少と推察。弊社は、従業員の悩み相談を通じて課題を洗い出した上で、その課題解決に効果的な打ち手を柔軟に提案・実行支援可能。

  • プロダクト(製品)共同開発
  • 事業提携
  • 資金調達したい
  • スタートアップ
  • テストマーケティング
株式会社Gypsophila

コネヒト株式会社

コネヒト株式会社は「あなたの家族像が実現できる社会をつくる」をビジョンステートメントに掲げ、育児や家族を取り巻く様々な家族領域の課題解決を目指す、日本でもユニークなドメインを持つテックベンチャーです。私たちの主軸事業である300万人のユーザーを抱える「ママリ」は、妊活・妊娠・出産・育児という女性たちが立ち向かう悩みや不安の解消、そして喜びや幸せが共感されるコミュニティとして、多くの子育て家族の生活になくてはならないものに成長し、私たちの元には国内最大級・国の調査以上の家族の声が集まります。加えて『育児の悩み』『家計の悩み』『不妊の悩み』『社会の認識』という4つの戦略領域において、事業創造や行政・自治体との連携、社会への提言など、様々な切り口でそれぞれの家族像が実現できる社会に向けた取り組みを進めています。これからのありたい社会の姿から逆算し、問いや仮説を立てながら、テクノロジーの力を使って、母親だけにとどまらず、父親はもちろん、働く会社も、病院、保育園や幼稚園、学校や住んでいる自治体などとともに、「家族像」というテーマに向き合い、事業を通じてそれぞれの多様な家族像が実現できる社会づくりに努めてまいります。

  • プロダクト(製品)共同開発
  • リソース提供(既存技術の提供・特許流用の検討など)
  • 事業提携
  • ジョイントベンチャー設立
  • プロジェクト・イベント型(期間限定)での協業
  • 中小企業
  • スタートアップ
コネヒト株式会社