• 公開:2021年01月04日
  • 更新:2021年01月18日

一度も会わずに共創を実現。PIXTAによる日本初の「データセット」販売への挑戦

ピクスタ株式会社

ピクスタ株式会社
  • AI
  • 画像AI
  • リソース提供(既存技術の提供・特許流用の検討など)
  • リソース探索(技術・アイディアなどを探したい)
  • プロジェクト・イベント型(期間限定)での協業
  • 新市場の模索
  • 上場企業

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新型コロナウイルスの影響で人の接触が憚れる今、多くの仕事がリモートで進められるようになってきた。オープンイノベーションもその例外ではない。これまで「直接会ったこともない企業との共創は考えられない」と思っていた方もいるかもしれないが、実際にオンラインだけで共創を完結する事例が現れ始めている。

画像素材のマーケットプレイスを運営するPIXTAも、その一社だ。2020年8月にはAIベンチャー「グローバルウォーカーズ」との業務提携も発表した。今回はPIXTAのカスタマーサクセスとして、旗振り役を担った福本早也香氏に、共創の背景と経緯を伺った。

スピーディなオープンイノベーションに向けて選んだ「AUBA」

ーーまずは共創を検討した背景について教えて下さい。

福本:私達は画像素材のマーケットプレイスとして、個人のお客様だけではなく、実は法人のお客様にもサービスを提供しています。サイト上でプランを購入できますが、組織向けの大口プランや素材の大量購入など、従来のプランではカバーできないご要望をお持ちの法人のお客様がいらっしゃいます。私はカスタマーサクセスとして、そのような法人のお客様を探し、ニーズをヒアリングしながら提案するのが仕事です。

これまでもパートナーと組みながらリードの獲得をしてきました。従来は展示会などでリード獲得してきたのですが、コロナの影響で展示会が軒並み中止になってしまったので、オンラインで共創する方法を探し始めたのです。

ーーオンラインでの共創支援サービスはいくつかありますが、その中でAUBAを利用したきっかけはなんでしょう。

福本:いくつかのサービスに実際に登録してみたのですが、AUBAが一番スピードを持って進められると思ったからです。AUBAでは企業の情報のページに、みなさんしっかり情報を書いてくれているので、相手のことをよく知った上でコンタクトがとれます。もちろん私たちのことも知ってもらえるので、お互いを知った上でスムーズにやり取りが進められました。

また、最初にカスタマーサクセスの方がフォローしてくれて、チケットも付与してくれたので「とりあえずコンタクトしてみよう」という気持ちで始められました。これまでのようにリード獲得ができなくなり、早く次の一手を探していたので、スピードを持って共創できるのは大きなポイントでしたね。

ーーAUBAを利用していて、使いやすいと思ったことがあれば教えて下さい。

福本:検索がスムーズに行えることです。登録者数も多く、みなさんしっかり情報を書き込んでくれているので、どんなキーワードで検索してもマッチする企業が出てきました。私達の場合は、あらかじめパートナーとなる企業像をイメージしてから検索していたので、共創したい企業もすぐに見つかりましたね。

具体的に機械学習の「アノテーション」技術を持っている企業をイメージしていたのですが、そのような専門的なキーワードでもヒットする企業が複数出てきました。グローバルウォーカーズさんも「アノテーション」で検索して見つけられた企業です。

※アノテーション……テキストや音声、画像などあらゆる形態のデータにタグを付ける作業のこと


イメージを固めてからの声がけで、期待以上のパートナーに出会える

ーーあらかじめパートナーとなる企業像をイメージしていたとのことですが、なぜでしょうか。

福本:最初はチケットももらえたので、「とりあえず声がけしてみよう」と始めてみました。しかし、具体的なイメージを持たずにお話しても共創には繋がらず、最後に「何かあったらお声がけしますね」と言って終わるだけだったのです。それでは、お互いに時間の無駄になってしまいます。

それからは社内で、どんな企業とどんな共創をするのか、具体的なイメージを持ってからお声がけする方法に切り替えました。

ーー機械学習の技術を持つ企業を探していた経緯について教えて下さい。

福本:機械学習をする際に、AIに大量の画像を読み込ませるため、AIの分野でデジタル画像のニーズが高まっていることはもともと知っていました。海外ではAI企業がデジタル画像を買うのが一般的ですが、日本ではまだ一般的ではなく、私達が販売していることも認知されていません。

そのため、アノテーション技術を持っている会社と組んで、AI企業に私達のサービスを提供できればと思ったのです。

ーーグローバルウォーカーズさんとはどのようにやりとりを始めたのですか。

福本:企業ページを見てアノテーションの技術を持っており、画像データのニーズがあるお客さんを抱えていることを知っていたので、相互送客できればと思いお声がけしました。お互いの事業について紹介した後は、私達がもってた共創のイメージを伝えて初めての打ち合わせは終わりました。

二回目の打ち合わせの時には、向こうから「データセット(AIの開発モデルのトレーニングなどに利用する、大量のデータの集合体)」の提案を受けました。海外ではデータセットを販売している企業がいるようですが、日本ではまだいません。そこにビジネスチャンスを感じた先方が、「一緒にやりませんか」と誘ってくれたのです。

ーー提案を受けた時はどんな印象だったのでしょう。

福本:データセットのビジネスがあること自体、私達は知らなかったので、ビジネスになるのか確信は持てませんでした。しかし、先方が丁寧に説明してくれたおかげで、少しずつ理解を深めていけました。

リリースする段階でも、うまくいく確信があったわけではありませんが「やってみたらわかるだろう」と思いました。スモールスタートで始めて、最初は手作業で画像を提案しながら、徐々にニーズを探っていければと思ったのです。


▲画像素材のPIXTAとAIテックベンチャーのグローバルウォーカーズ社が業務提携/プレスリリースより

新しい挑戦への反響は好調。今後も共創による展開に期待

ーー2020年8月にリリースを発表していますが、それまで先方とは一度も会っていないのですか。

福本:はい、全てのやりとりをZOOMとSlackで行っているので、未だに直接お会いしていません。実際にオンラインでやり取りを進めていると、直接会うよりもいい点もありました。例えば、オンラインだと「ちょっと30分くらいいいですか」と気軽に相談できます。他にも、分からないことあったらSlackに投げておけば、気づいた時に返答がもらえるのでやり取りもスムーズですね。

ーーリリースしてからの反響についても教えて下さい。

福本:まだデータセットの購入はありませんが、法人からの画像の問い合わせは増えて、そのうち何社かには販売もしています。「リリースを見ました」というコメントと共に、問い合わせしてくれる企業さんも多くいます。グローバルウォーカーズさんもリリース後に問い合わせが増えて喜んでいるようです。

ーーどのような企業からの問い合わせが多いのでしょうか。

福本:今のところ、大企業が研究用に購入するケースが多いです。スマホの顔認証や、商品のレコメンドシステム、監視カメラの研究用に利用されているようです。弊社が法人向けに画像を提供していることが認知されたことを実感しますね。

また、これまでは問い合わせのなかった、動画のニーズも見えてきました。ここ数年は企業活動に動画を用いる会社も増えているので、これからさらに問い合わせも増えていくはずです。私どもとしても、そのようなニーズに応えるため、動画を定額制で提供するサービスもリリースしました。

ーーリリースの反響も大きかったようですが、今後の展望についても教えて下さい。

福本:法人からの問い合わせが増えたことでニーズも分かってきたので、しっかりデータセットとして提供し、企業の研究活動に貢献していきたいですね。動画のサービスに関してもAUBAでパートナーを探しながら、販路を拡大していきたいと思います。

企業のニーズも多様化しているので、既存サービスの認知を上げるのと同時に、ニーズに応えられるサービスも積極的に開発していければと思います。

編集後記

直接会って打ち合わせるメリットがあるのは確かだ。しかし、共創を実現するために、必ずしも直接会う必要がないことが、今回の事例で明らかになった。これまで大手企業を中心に「会ったこともない企業とは提供できない」という考えもあったかもしれない。しかし、コロナでも共創を止めないのであれば、オンラインで共創を完結するのも致し方ないことだろう。

(取材・文:鈴木光平)


選択しているビジネス領域の企業

株式会社スタッフライフ

弊社は2012年の創業から、デジタル領域のエージェントとしてクリエイター人材事業を軸にサイトコンテンツ制作やSNS運用をサポートしている会社です。 新規事業として、2022年6月にクリエイターやコンテンツホルダーがより簡単にNFT(非代替性トークン)を作成できるマーケットプレイス「Yebima(ヱビマ)」をリリース予定です。 NFTの利用用途は生活者にも多岐にわたり、アートやクリエイターの世界だけでなく、デジタルコンテンツ全般へと利用領域が拡がっています。さらに、IoT機器を用いた実際の物品との紐づけも行われるようになってきました。特に、コレクションアイテムのNFT化によってNFT購入者層が拡大し、NFTの市場は急拡大し、NFT市場の時価総額は、20年の約3.7億ドル(約436億円)から約170億ドル(約2兆円)に成長しています。 市場が急拡大している中、ビジネスへの活用方法も模索されていますが、NFT化を可能にするブロックチェーン技術の開発は複雑で、その開発費用も膨大です。 そこで、「デジタル領域×人材サービス×クリエイティブ」が強みであり、人々のチャレンジやクリエイティブ精神を尊重する思想を持つスタッフライフが、NFTを無料で作成し、出品までできるNFTマーケットプレイスをリリースする運びとなりました。アートだけでなく、モノやサービスをNFTと紐づけ、幅広い権利者のデジタル領域におけるビジネスをサポートしていきたいと考えています。 ※NFTとは…NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)䛿、ブロックチェーン上で発行された「1点モノ」のトークンです。ブロックチェーン技術をもとに作られたトークン䛾一種であり、ブロックチェーンやトークンの特徴を包含しています。ブロックチェーンのもつ、耐改ざん性、および来歴管理(誰から誰に所有権が移転したか䛾管理)の特徴を生かし、NFTが「偽造不可能な鑑定書+所有証明書」の性質をもっており、これによりNFTに資産性が生まれます。

  • リソース提供(既存技術の提供・特許流用の検討など)
  • 事業提携
  • 資金調達したい
  • プロジェクト・イベント型(期間限定)での協業
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  • 3カ月以内の提携希望
  • テストマーケティング
株式会社スタッフライフ

株式会社パブリックグッド

●PRアワードグランプリ2021シルバー&2020ブロンズ受賞 2021シルバー受賞エントリーは学校総選挙プロジェクト(事業主体:CCCマーケティング株式会社)です。https://youthvote.tsite.jp/2020ブロンズ受賞エントリーは、「ポ歳暮」(事業主体:楽天株式会社)です。 「ポ歳暮」の概要がよく分かる記事∟日経クロストレンド https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/watch/00013/00692/ ∟まいどなニュース https://maidonanews.jp/article/12921118 社会課題の理解促進を強みとし、「なるほど」「そう来たか」を生み出すアイデアと実行力で、企業と消費者をつなぐ活動をしています。 ●少数精鋭だからこそ出来る!小回りの利くパートナー 成果の予測しづらいマーケティングPR領域を生業としているからこそ、「全力」「誠実」「丁寧」を価値としてお客様に伴走します。他のPR会社との違いは、少数精鋭のため、意思決定が早く、パートナー企業のニーズに合わせて柔軟な対応が出来る点です。 創業から8年。フットワークの軽さを活かして、パートナー企業と一緒に商品開発を行ったり、サービスや企業の価値規定を行ったり、様々な実績を積んで来ました。

  • プロダクト(製品)共同開発
  • リソース提供(既存技術の提供・特許流用の検討など)
  • 事業提携
  • プロジェクト・イベント型(期間限定)での協業
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  • 新市場の模索
  • 中小企業
  • スタートアップ
株式会社パブリックグッド

EDUSHIP株式会社

■EDUSHIPとは?教科書・教材の関連会社は様々ありますが、日本では国語・算数・英語など「主要科目」以外の教材サービスは十分とは言えません。EDUSHIPは先進国の中でも自己肯定感が低いと言われる日本社会において、”子どもたち一人一人が「新しい可能性」を発見できる社会”に向け、「学校体育・スポーツ」などの新分野においても次世代に適した「発見型の教材サービス」を開発し、「日本全国の学校」へ供給することを目指しています。同社の「ENGINEプロジェクト」は第一弾として2020年5月コロナ禍における学校体育サポートのためのダウンロード教材を提供開始、リリースから約2ヶ月で1,000校を越える小学校から申し込みがありました。2021年夏には小学校体育支援サービス「カラチャレ」を全国リリース。企業とのタイアップにより、小学校へ無料で提供することが決定しています。また、同社が展開する学校教材流通センター「DBSプラットフォーム」は全国30,000校の小中学校を軸に全国流通を実現する巨大な教材センターであり、現在日本全国の小中学校にあらゆる種類の教材が届けられています。■活動の第一歩として取り組む「体育授業の課題」日本の子どもたちが一斉に運動体験に出会う体育。なぜ小学校では「体育」の時間があるのでしょうか?​運動が得意な子も、苦手な子もいます。それは既に幼稚園や保育園の頃から明確に差があると言われ、さらに4月生まれの子と3月生まれの子でも大きな差があります。​小学校の授業では「全員が同じタイミングで、同じことをする」ということがベースにあります。この考え方で体育を行うと「子どもたちが順番に跳び箱を飛ぶ」という授業になるでしょう。これはできる子が大活躍する一方、運動が苦手な子やクラブなどで全く教わっていない子は差を感じてしまい、その後の運動の二極化(好き⇔嫌い、できる⇔できない)を大きくしてしまいます。現在、日本のスポーツには「得意な人だけがやる」という常識が存在しています。しかし、スポーツが持つ本来の価値とは何でしょうか?それは「健康」だけでなく、2019年のラグビーW杯、2021年のオリンピック・パラリンピックでも日本が体験したように、スポーツには「コミュニティが生まれる!」「時間を忘れるほど夢中な瞬間が生まれる!」「ハイタッチが起こるほどの連帯感が生まれる!」などなど、座学の授業では起こりえない「子どもたちみんなの特別な成長」が待っています。そこで、第一弾として「スポーツ本来の価値」から立ち返った「これから体育の新サービス開発」をテーマに掲げました。【体育プロジェクトメンバー】佐藤壮二郎(EDUSHIP代表取締役社長/日本フラッグフットボール・協会創設委員/筑波大学アスレティックデパートメント・SI)白旗和也(日本体育大学・教授)櫻井義孝(ENGINE事業部長・プロジェクトマネージャー)https://note.mu/engine_s/n/nd294ac537192

  • プロダクト(製品)共同開発
  • 共同研究
  • リソース提供(既存技術の提供・特許流用の検討など)
  • リソース探索(技術・アイディアなどを探したい)
  • 事業提携
  • 資金調達したい
  • プロジェクト・イベント型(期間限定)での協業
  • ネットワーキング
  • 中小企業
  • 6カ月以内の提携希望
  • 教育研究機関
  • スタートアップ
ENGINE本部事務局(株式会社教育同人社)